みなさん、こんにちは。
清水です。
今日はエキノコックス症について。
エキノコックス(単包条虫や多包条虫)という寄生虫によって、引き起こされる病気です。
はじめてこの病気を知ったのは、大学生のときの授業。
とても怖い病気だと驚いたことを覚えています。
先生のご指導が良かったのか、私の性格の問題なのか、人獣共通感染症(ズーノーシス)の授業で、私はこの怖さを刷り込まれました。
人獣共通感染症は、人や動物に共通の感染症です。
家畜やペットだけでなく、ジビエ肉にもなる野生動物などに感染している病原体が、人にも感染する病気です。
細菌のような目に見えないものから、ウネウネ動く目に見える寄生虫まで、さまざまな病原体がいます。
感染を起こしている肉を、人や犬猫が食べるとどうなるか、
糞便に排出された虫卵を、誤って摂取してしまうとどうなるか、
などなど、各病原体で異なります。
この人獣共通感染症の授業で、私にとってエキノコックス症は、ダントツで一位の怖い病気でした(当時)。
国内で問題になることが多いのは、多包条虫によるエキノコックス症です。
犬は消化管内に寄生しているだけで、さほど症状は出ません(血便が少々程度)。
人は、犬やキツネの糞便に排泄された虫卵を摂取してしまうと、感染してしまいます。
潜伏期間(症状が出ず、ひっそりと病気が進行してしまう期間)が5年から10年。
その後、肝臓などにできたエキノコックスの病巣によって、発症します。
癌ではありませんが、病気の性状は癌に似ています。
肝臓が破壊されるだけでなく、他の組織にエキノコックスが転移します。
早期発見で病巣を完全切除できれば改善できますが、切除できない場合、薬を用いても治療は難しいようです。
治療しなければ、死亡率は非常に高いです。
犬はさほど症状が出ませんが、時に、ヒトと同様に肝臓に病巣を生じることがあります。
猫にも寄生しますが、エキノコックスにとって猫はあまり寄生するのに適していません。
国内のエキノコックス症で問題になっている場所と動物は、北海道でのキツネを介した感染です。
今や、北海道だけでなく本州にも広がっています。
私は授業でこの病気を知りましたが、北海道ではみなさんこの危険性を知っているそうです。
普通の注意になってしまいますが、
糞便に排泄された虫卵が、どこから手につくかわかりませんので、
動物などを触った後はしっかり手を洗いましょう。
清水