みなさん、こんにちは。
清水です。
今日は、前回の続きです。
いわゆる「健康食品」残りの10のメッセージ(ヒトを対象としたメッセージ)について、犬猫でも考えてみました。
⑩ 「健康食品」は、多くの場合が「健康な成人」を対象にしています。高齢者、子ども、妊婦、病気の人が「健康食品」を摂ることには注意が必要です。
そうなんです。なんと、「健康食品」の多くは「健康な成人」が対象なのです!
様々な物質(いい成分も悪い成分も、薬効のある成分も毒も)を代謝(体に入ってきた物質を処理すること)する能力は、個人差があります。もちろん、種差もあるので、ヒトが解毒できても、犬猫で解毒できるとは限りません。
⑪ 病気の人が摂るとかえって病状を悪化させる「健康食品」があります。
特に、肝臓や腎臓が悪いと、体に入ってきた成分の処理能力が落ちます。
肝臓での解毒ができなかったり、腎臓で尿として入ってきた成分を排泄することができなかったりするためです。
いい成分でも過剰に摂れば悪い影響が出る場合、肝臓や腎臓が悪いと、うまく処理できず、体に蓄積してしまい、過剰摂取と同じ状況になります。
⑫ 治療のため医薬品を服用している場合は「健康食品」を併せて摂ることについて医師・薬剤師のアドバイスを受けてください。
薬の効果が「健康食品」によって、弱められたり、逆に強く出ることもあります。
もちろん、犬猫に関してのアドバイスは、かかりつけの動物病院、もしくは当院までご相談ください。
⑬ 「健康食品」は薬の代わりにはならないので医薬品の服用を止めてはいけません。
犬猫の管理は、飼い主のみなさまにかかっています。
何が正しくて何が間違っているのか、動物病院でしっかり、とことん、ご相談ください。
⑭ ダイエットや筋力増強効果を期待させる食品には、特に注意してください。
「食べて痩せる」というものは、正常では考えにくいです。
体は壊れていませんか?副作用で痩せるのならば、本末転倒です。
⑮ 「健康寿命の延伸(元気で長生き)」の効果を実証されている食品はありません。
これがあるなら、世界中で大騒ぎになっているでしょう。
ペット(犬猫)の寿命は、ヒトより短いです。
少しでも長く一緒に過ごしたいですね。
⑯ 知っていると思っている健康情報は、本当に(科学的に)正しいものですか。情報が確かなものであるかを見極めて、摂るかどうか判断してください。
この判断は難しいです。
私が主に利用する情報源をご紹介。
ヒトの情報は、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の「『健康食品』の安全性・有効性情報」です。
犬猫の情報は、ASPCA Animal Poison Control Centerですが、日本語ではありません。・・・。
⑰ 「健康食品」を摂るかどうかの選択は「わからない中での選択」です。
この一文では意味がわかりにくいので、続きの内容を抜粋。
「(以上のように、)「健康食品」は安全性、品質、有効性などいずれの点でもわかっていないまま販売されているものが少なくありません。「健康食品」を摂るかどうかを決めることは、そういったわからないことが多い中での選択と言えます。」
さらっと、怖い文章なんですけど。
⑱ 摂る際には、何を、いつ、どのくらい摂ったかと、効果や体調の変化を記録してください。
「健康食品」の情報だけでなく、犬猫に与えたものやその後の状態の情報は、多い方が病気になった時の治療に役立ちます。
⑲ 「健康食品」を摂っていて体調が悪くなったときには、まずは摂るのを中止し、因果関係を考えてください。
犬猫が何かを(もちろんいつもの食事でも)摂取して体調が悪くなったと思った時は、与えるのを中止してください。
たまたま体調が悪くて、その成分に過剰に反応していることもあれば、食べ合わせが悪くて、影響が出ていることもあります。
摂取したものが原因とは限りませんが、不安なまま与え続けず、かかりつけの動物病院、もしくは当院までご相談ください。
私にとっては、有意義な情報だったので、ヒトだけでなく、犬猫が健康に過ごす一助になれば幸いです。
清水
参考
いわゆる「健康食品」に関するメッセージ. 2015 年 12 月. 食品安全委員会(いわゆる「健康食品」の検討に関 するワーキンググループ).
いわゆる「健康食品」に関する 報告書. 2015 年 12 月. 食品安全委員会(いわゆる「健康食品」の検討に関 するワーキンググループ).